今回のテーマは「MFT(口腔筋機能療法)って何?!」
MFTとは「Oral MyoFunctional Therapy」の略で、日本語では「口腔筋機能療法」といいます。不正咬合(歯列不正)の原因はさまざまありますが・・・・・・
近年、口腔機能への関心は高まってきています。
舌癖は、不正咬合の原因に関与しているため、これまで主に小児歯科、矯正歯科分野でMFTが用いられてきました。
一般歯科においても、包括医療の一環としてMFTを導入する歯科医院が増えてきています。
その理由は日常生活において“食べる、飲み込む、話をする、呼吸をする”といった、口の正常な働きがGOL(生活の質)やADL(日常生活活動)に欠かせないからです。
高齢者の口腔機能が円滑に働いているかどうかは、全身の健康に大きく影響することが知られています。しかし、一般の人々の口腔機能の異常に対する意識はまだ低く、MFTなどの機能訓練に対する患者さんのニーズは少ないと思われています。
高齢者の口腔機能異常については、ここ最近「オーラルフレイル」や「口腔機能低下症」として関心が高まってきましたが、子どもの口腔機能低下についてはごく一部の先生方以外はまだあまり関心が持たれていません。若年者の口腔機能異常を放置すれば、不正咬合の発生や進展に影響し、全身の健康にも支障をきたします。
当院では口腔機能異常を早期に発見して
「口腔機能を育てる」
「口腔機能を鍛えて回復する」
「舌や口腔周囲筋は訓練できる」
などの口腔機能を最大限に生かす訓練について、情報を発信していく必要があると考えています。
誤った舌の動きや口唇の状態は「オーラルフレイル」「口腔機能不全症(異常)」の症状と捉えて、ひいては“口の健康づくり”として舌の訓練や咀嚼訓練などにより口腔機能の向上を図る必要があると思います。
つまり、著しい口腔機能異常の症状を前兆で捉えて、問題を解決するということなのです。
MFTは、歯科医師と歯科衛生士が協力してチームアプローチで取り組み、歯科医療の幅を広げ、付加価値を高める医療といえるでしょう。
そして、「口腔機能を育てる」「口腔機能を正常に動かす」「口腔機能を回復する」などは、結果的に「QOLの改善」や「ADLの向上」に繋がります。歯科分野で行われてる種々な口腔機能の訓練は、若年者から高齢者まで口腔リハビリテーション医療として活用されます。今後MFTに限らず、さまざまな目的で機能回復訓練が開発されていくでしょう。
子どもの口腔機能の障害として、口呼吸、舌癖、歯軋り、咀嚼障害などがあると、小児期の成長発育を妨げることに繋がります。
MFTのニーズ
- 指しゃぶりや舌碧の訓練
- 矯正治療の円滑な進行、後戻りの防止
- 幼児や小児の噛む、飲み込む、口唇閉鎖不全の指導
- 障害児など、よだれの多い子への指導
- アンチエイジング対策(審美目的)としての舌、口唇、顔面筋の訓練
- 高齢者の口腔リハビリテーションへの応用
- ドライマウスの唾液促進、舌痛症への応用
- ことばの教室で構音訓練の前段階の舌づくり
来月は「MFT」に関するQ&A、自己診断チェックをご紹介します!